チベットのラサを発ちネパールへ向かう旅の第一日目。早くも標高は5000mを超え、カローラ峠ではすぐ目と鼻の先に氷河が迫っていた。緩やかな起伏のある荒地が休憩地になっていて、茶店が一軒ある以外は何もないが、珍しく離れた所にトイレのサインが掲げてある。1mばかりの高さの石積みの塀に「公共厠所」として、「女」と矢印が添えられている。しかしその方向に建物らしきものが全く見えない。おかしなこともあるものだと思ったが、すぐにピンときた。
要するに、この塀の向こう側がトイレで矢印はそちらに回りなさいという意味。こんな高さでも、しゃがめば姿は隠れる。一本の木はおろか見渡す限り遮蔽物のない原野にあって、女性にとってはこんな塀であってもないよりはずっとましということだろう。
もっともラサでも、しごく立派そうな公衆トイレなのに塀だけで屋根なしというのがあった。塀で囲まれた6帖間程度のスペースが大小兼用のトイレ空間になっていて、一方の塀際に溝が切ってある。中央の床に縦長の穴が一つあるだけ。それが大用というわけだが、こんな所で用を足せる日本人はいないだろう。
(2003年1月)
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ラサにあるセラ寺のトイレ構えは
立派だがここも屋根なし |
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