旧約聖書に記された物語は神話の世界とばかり思っていたが、そのほとんどは実在した話なのだ。シリア、ヨルダンを巡ってつくづくそう感じた。
シリアのダマスカスでは聖パウロが神の啓示を受け、目からうろこが剥がれ落ちた場所に建つ教会を訪問した。
ヨルダンのワディ・ムーサにはモーゼの奇跡によって出現したとされる湧き水を見た。
モーゼ終焉の地とされるネボ山山頂の教会に行ったとき、私は思わぬ発見をした。といっても私にとってという意味だが。イタリアに行ったとき、薬局のサインで棒のようなものに蛇が巻きついたシンボルマークを何度か見たが、どういう意味なのかわからなかった。
ネオ山にはモーゼのシンボルとして、杖に蛇が絡んだ大きな彫刻が据えられていた。絵に描かれたモーゼは常に杖を携えている。だから、杖はモーゼのシンボルであり、奇跡によって病を治すモーゼは薬局のシンボルとなったのだ。蛇も古くより同じく薬治の神とされる。こんなところで私の疑問が解けようとは思わなかった。 |