イタリアの地方都市にはそれぞれに立派な教会があり、積み重ねられた歴史を秘めるとともに、貴重な美術館の役割も果たしている。ラベンナの華麗なモザイク画で飾られた教会群もそうだが、 パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂に描かれた敬虔なジョットの宗教画も素晴らしい。
中部イタリアのアッシジにもそんな教会がある。聖者フランチェスコが生まれ、終生を布教に努めた地で、その生涯を描いたジョットのフレスコ画で有名なサン・フランチェスコ教会がトスカーナの沃野を見下ろす丘上にあり参詣者で賑わっている。
教会の前庭には刈り込んだ植栽がつくる大きな文字がありPAXと読めた。
PAXとは平和という意味だそうだ。そういえば思い出した。塩野七生の「ローマ人の物語」にはパックス・ロマーナ(ローマによる平和)という言葉が度々出てくる。古代ローマ人は紀元前、すでに地中海一円から、アラブ、アフリカに及ぶ広域の平和を築いていた。それから2000年を経た今日、人類はまだ世界平和を達成できないでいる。 |